機械vs人間チェス

チェスコンピュータvs人間の歴史(人間優勢時代)

今日の話題はチェスコンピュータです。

この記事を書いている2021年8月現在ではすでに人間よりもコンピュータの方がチェスが強いことは常識になっている時代です。
しかしチェスコンピュータはコンピュータ時代の発展とともに歩んできたといっても過言ではありません。
どういった道をたどってチェスコンピュータが強くなっていったのか。人間との対戦から見ていきたいと思います。

 

オートマタ時代

トルコ人ターク(1770年)

初めに書いておきますが、自動人形トルコ人は、人が機械の中に入って操作する一種の手品でした。

しかし多くの人が人が中に入っていると感じていながらも一度も人が入っていたことがバレなかったといわれるイカサマ人形でした。
そしてこの人形に触発された多くの科学者が、これは違うかもしれないが実際にこのような人形を作ることは可能なのか真剣に計算して考えたと言われています。
現代日本でいうところのドラえもんの秘密道具作りをやるプロジェクトみたいなものが当時もこのトルコ人であったものと思われます。
次世代につながった重要な人形だったようですね。

余談ですが、有名なフランスのナポレオン・ボナパルト氏もこの自動人形と対戦したと言われ、現代でも棋譜が残っています。
Napoleon Bonaparte vs The Turk (Automaton)

 

エル・アヘドレシスタ(1912年)

世界で初めてのコンピュータゲームと言われています。

もちろんこの時代では最初から最後まで1局通したチェスを指す機械は製作不可能でした。
ではどういったシロモノかというと、チェス盤上に人間側機械側2個のキングと機械側のルークの合計3個の駒を置くと機械は電磁石で駒を動かしてキングとルークを駆使して人間のキングをチェックメイトすることができるという、日本的に言うと簡単な限られた詰将棋を解く装置みたいなもんでした。

こちらはトルコ人とは違いちゃんと人間の誘導なしで手を選択できる機械でした。

 

ミニチュアチェス時代

名前不明(1956年)

チェスのようなゲーム(ミニチュアチェス)ができる機械が登場。
6×6の小さな盤面でビショップ2個とポーン2個がありません。
簡素化したチェスですが、やっとこさ一局のチェスを指しきることに成功しました。

このゲームはチェス系統ゲームでコンピュータが世界で初めて人間に打ち勝ったと言われています。
23手でチェスをほとんどやっていないような初心者に勝ったとありました。

 

vsアマチュア時代

名前不明(1962年)

一局のチェスのゲームを指しきることのできるコンピュータを作りあげることに成功。

 

M20(1963年)

世界初のチェスコンピュータ対グランドマスターが実現。
ちなみにこのグランドマスターはアマチュアではなくプロです。いわゆる記念対戦みたいなもんでしたが、さっくりと人間にコンピュータが敗れます。
David Bronstein vs M20 (Computer)

 

マックハックVI(1967年)

マックハックVIはマサチューセッツ工科大学の哲学の教授にチェスで挑戦状をたたきつけます。
なぜ挑戦したかというと、その教授はチェスコンピュータはわずか10歳の子供にも勝てるような能力は手に入れることはできないだろうと主張していたからだそうです(そんな感じの内容の本を出版していたそうな)。

結果は、コンピュータ側(マックハックVI)の勝利。当時の常識では、機械がこんな手順を見つけたなんて信じられないと言うような鮮やかな勝利だったとのこと。
その年の春には、ボストンのアマチュアチェス選手権で2ゲーム勝ち2ゲーム引き分けを取ったそうです。
これは人間のチェストーナメント(大会のガチ試合)で初めてコンピュータが勝利した瞬間でした。
毎秒10局面を評価することができて、レーティングは1529だったそうです。

 

チェスシリーズ(1976年)

カリフォルニアのレーティング1800未満が対象の人間のチェス大会(いわゆるBクラス大会)で全勝優勝をします。
クラスBといえどもコンピュータが人間の大会で初めて優勝することになりました。
この頃になると毎秒1500局面読むことに成功していたそうです。

その後、毎秒1500局面評価することができ、レーティング2000オーバーのエキスパート選手を倒すことに成功するなど絶好調でした。

 

vsチェスマスター時代

クレイ・ブリッツ(1981年)

ついにコンピュータはマスター称号を持つ人(レーティング2262)を倒すことに成功します。
Joseph Sentef vs Cray Blitz (Computer)

 

ディープ・ソート(1988年)

ディープ・ソートはのちにチェスコンピュータ界で有名になるディープ・ブルーの全身の機械です。
ついに人間のグランドマスター(当時レーティング2560)に勝利します。
Bent Larsen vs Deep Thought (Computer)

 

その後(1988年~)

人間界の最後の砦として世界チャンピオンが登場します。
次の記事では世界チャンピオンとチェスコンピュータが割と拮抗していた激闘の時代を紹介していきたいと思います。

ABOUT ME
くろーりん
チェスブロガー、くろーりん。 チェスのルールを知らなくても楽しい。 ルールを知ってるともっと楽しいブログを目指します。 チェス情報発信歴10年くらい。 チェスの強さはいまいちなので、雑学やTIPSなど「チェスって面白い」と思っていただけるブログ制作を心がけます。 (当ブログはリンクフリーです) Vtuberとしてyoutubeで配信もしているので、ここの下のyoutubeアイコンからぜひお越しください。

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